
作・演出の二ノ宮修生語る・・
老夫婦のくだりに感動した、との感想が多くて嬉しかったのだけれど、実を言えばあの老夫婦の件に感動した後、九十九神たちの姿にむせび泣く、そんな形がまあ、理想形だったので、各方面からの批評にアリャリャ、アイタタな気分なのです。とまあ、これは役者のせいではなく、この期間ならこれで間に合うはずだ、との私の読みが2割ほど甘かったという駆け出し演出家(にわか演出家とはあえて言うまい)の責任に尽きるのであります。
とはいえ、それほどの失敗作なら前記の評価もあり得なかった訳で、いわば老夫婦と九十九神との対置は表裏一体の関係にあるのだから、あながち後悔するような出来ではなかったのだろうとは思えるのです。
それより何よりも、今回「イカロスまつり」をやろうとした意図、それは私的には大衆演劇で言うところの座長大会みたいなことだったのだけれど、今から思い返せば蛮勇を奮ったとしか言えない着想が実現し得た、そのことにこそを祝着至極に感じます。
特にこの危機的状況を必死に支えようとしてくれた「劇団海里」、あなた方と一つの仕事を成し遂げたかった。
志向性の違いから言って、こんなことでもなければ共同作業は有り得なかったと思っていただけに本当に楽しい出会いになりました。
で。
10年近く温めてきた<百鬼夜行>の物語、やっぱりこんな機会に恵まれなければ産み落とされなかったのでしょうね。お手盛りのメンバーじゃ<百鬼>にならない。あんな奴もこんな奴もおるんや。
・・何だか一つの状況から生じた必然だったように思えるんですよ。
最後に。
私は観客としても全作品に立ち会いましたが、いやあ、こんなの普通のホールじゃ絶対観られない。制約の強い小空間なればこそ、何とかしてそれを面白く生かそうとした、数多の工夫、それこそが創造の原点なのだと再確認しました。
既成概念にとらわれた完成品なぞクソクラエてなもんですな。
では、来年のvol.1に向けて決起しようじゃないですか、諸兄!